ビジネスパーソン研究FILE 東京急行電鉄株式会社

2018/03/30
インタビュー

プロフィール
やまなか・りな●都市創造本部 開発事業部 事業計画部 渋谷まちづくり担当。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。2013年4月入社。3歳からクラシックバレエを始め、中学からは新体操を始めるなど、表現活動が大好き。文化発信を手がける東急電鉄に魅力を感じ、入社を決意した。

鉄道という基盤の上で、文化が根付く街をつくりたい

3歳で始めたクラシックバレエを続け、中学からは新体操、大学は身体映像学科を選択するなど、一貫して、舞台を通した表現活動を続けてきた山中さん。その経験から、日常的に芸術に触れる経験ができるような、文化が根付く街をつくりたいという思いを強く持っていた。東急電鉄に興味を抱いたのは、鉄道という基盤を持ち、広く街づくりを手がけているから。総合文化施設「Bunkamura」、渋谷ヒカリエ「東急シアターオーブ」を手がけていることも、大きな魅力だった。

「会社説明会では、東急沿線の街の価値を高めようと長期的な目線で考えていることが伝わってきました。鉄道会社には硬いイメージがあったのですが、『東急シアターオーブ』の劇場開発を手がけた先輩の話を聞き、本当に文化発信に貢献できるんだ、会社としても力を入れているんだと分かり、私も文化の発展のために力を捧げたいと思いました
入社後は、3カ月間のグループ会社研修から始まった。43人の同期が、数人ずつグループ会社に分かれて配属となり、東急沿線の街づくりがあらゆるグループ会社とともに進められていることを学んでいく。
山中さんが配属されたのは、東急線沿線エリアに密着した警備・セキュリティサービスを提供する「東急セキュリティ」。サービス案内チラシを地域の病院などに置いてもらったり、警備が必要な塾や幼稚園などへ商談に行ったりと、先輩についてさまざまな営業経験を積んだ。その後、7カ月間は、武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)での現場研修へ。鉄道会社の主軸業務である駅係員として、お客さまの要望に臨機応変に対応する力を鍛えられた。 「人身事故による遅延や、台風による運転見合わせなど、日々さまざまなトラブルが生じます。意識していたのは、あいまいな情報を伝えてお客さまを混乱させないこと、お客さまの立場になって、どんな情報が必要かを考えること。約10カ月間の研修を通して、相手に立場で考える姿勢の大切さを学びました」
ビジネスパーソン研究FILE東京急行電鉄株式会社
渋谷の標識ルールに関して、社内で共有。関係各社や国土交通省などとの打ち合わせ内容をフィードバックする。

2027年竣工予定の「渋谷駅周辺開発プロジェクト」で、過ごしやすい街づくりを進める

1年目の2月から配属となった、現部署・都市創造本部開発事業部のミッションは、渋谷の街づくりの全体戦略立案と実行。「エンターテインメントシティSHIBUYA」実現に向けて、街横断の仕組みやルールづくりが求められている。

「もともと、渋谷の劇場開発をやりたいという思いがあったのですが、渋谷という街全体のことがわかっていなければ、何もできません。まずは、東急電鉄にいる自分には何ができるのかを知るために、街づくりの全体を俯瞰(ふかん)する仕事に就きたいと考えました。配属となった渋谷まちづくり担当部署は、東急以外にも、他の鉄道会社、大手ディベロッパー、不動産会社、国土交通省や渋谷区、東京都などの行政と連携することが求められます。街をつくるには、どんな調整業務が必要なのか、プロセスを一つひとつ学んでいます」

現在、山中さんが携わる渋谷駅周辺開発プロジェクトは、2018年秋に渋谷南街区(旧東横線渋谷駅の線路跡地)の高層複合ビルが開業予定のほか、渋谷宮下町、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅桜丘口地区、渋谷駅街区と5つのエリアで2027年までの竣工が予定されている。それぞれの高層ビルの開発には、複数の鉄道会社や不動産会社がかかわっているため、渋谷エリア全体の発展を考える「渋谷駅前エリアマネジメント協議会」が2014年に発足。山中さんはその一員として、協議会の運営にも携わってきた。

「5つのエリアでそれぞれ建物が立つと、同じようなコンセプトになってしまったり、受けられるサービスに差が出たり、エリア間のアクセスが不便になったりと街全体の統一感が失われる可能性があります。同時期に工事が進むと街に活気がなくなってしまうという問題も出てきます。そこで、街づくりにかかわる複数の会社で協議会を立て、意見をまとめながら開発を円滑に進めていこうと動き出しました」

配属された当初、協議会には開発に関わる各社が“会費”を出し合って運営していた。しかし、渋谷駅の発展は、建物が竣工したら終わりではなく、今後永続的に続いていく。そのためには協議会独自の収入源を持ち、街に還元できる組織運営が必要だとの考えから、協議会の一般社団法人化が動き出した。2年目だった山中さんは「会社に所属しながら、組織づくりのプロセスを学べる絶好の機会」だと、法人化の骨子づくりをやりたいと手を挙げ、規約づくりを中心となって進めていった。

「弁護士や会計士の先生からアドバイスをいただきながら、規約をつくり、総会を開いて50人近くの協議会メンバーから意見を仰ぎました。その時期、協議会が収益を得る試験的な活動として、渋谷駅のハチ公前広場に企業広告を出したいと行政に提案していました。区のパブリックスペースに広告出稿の許可をいただくには、協議会が法人組織になる必要があったので、急ピッチで規約を固めて法人化しなければいけません。2カ月で『一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント』を立ち上げ、ハチ公前広場に巨大な企業広告が出たときは、積み重ねてきたことが形になる喜びを実感しました」

現在は、2018年開業予定の南街区に合わせて、標識やマップなどの統一した案内誘導を考えるのが山中さんの仕事だ。英語の表記や、サインのレイアウト、「ハチ公口」「ハチ公前広場」などの名称の統一など、決めることは山積。鉄道会社によっても文字の色やフォントが異なるため、何に統一するか、関係者間の調整業務に日々奔走しているという。

「2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、国土交通省も新たな標識案を出しているので、国との調整も必要です。初めて渋谷に来るお客さま、外国人観光客の皆さまにも、わかりやすい街、過ごしやすい街だと思ってもらいたい。南街区の完成に向けて、開発スピードに負けずに動いていきます」
さまざまな意見を持った多くの関係者をまとめる秘訣を聞くと、「まずは、一人ひとりといい関係を築くこと」という。 「みんなが納得する答えを出すのは難しいかもしれませんが、信頼関係が築けていれば、意見をすり合わせながら前に進めることができます。『こうしてほしい』という意見が出たから対応したら、別の角度から違う意見がくるのは日常茶飯事。これからは、意見に耳を傾け、建設的な指摘は取り入れながらも、『こうあるべきだ』という自分の意見がしっかり持てるようになりたい。『私は、この街のために、これをつくりたい』と、自信を持って言える自分であるように、決断して動かしていく経験を重ねたいですね」
ビジネスパーソン研究FILE東京急行電鉄株式会社
2018年開業予定の南街区の開発メンバーに向け、標識ルールに関する説明資料を作成。決まったことはこまめに資料にまとめ、関係者に説明する機会が多い。

山中さんのキャリアステップ

STEP1 2013年 新入社員研修で3カ月間、グループ会社に配属され営業を経験(入社1年目)

入社後の研修は合計10カ月。最初の3カ月は東急セキュリティで営業経験を積んだ。同期4人で、サービス案内チラシを置いてくれる取引先の開拓を競うなどどんどん現場に出ていった。研修期間は、同期全員で一つ屋根の下、寮生活をするのが東急電鉄の伝統。みんなグループ会社にバラバラに配属されるが、帰宅後に共有のリビングスペースで仕事の話をしたり悩みを相談したりと、濃密な時間を過ごした。「同期はまさに、同じ釜の飯を食った仲間。共同生活をする上で何かトラブルがあれば、リビングスペースに集合して議論。何でも言い合える関係となれるあの“家”は、本当に貴重でした」。仕事で連携しやすい横のつながりができ、社内でノウハウを共有できる土台になっているという。

STEP2 2013年4月 新入社員研修として、7カ月間、武蔵小杉駅の係員を経験(入社1年目

グループ会社での研修が終わると、駅研修がスタート。最初の1カ月間は研修センターで、東急沿線の駅名や地図、駅の窓口業務の基本を座学で学んだ。山中さんは、利用者の多い武蔵小杉駅で、窓口業務を担当。「駅の窓口裏のオフィススペース内には、簡易なキッチンもあり、そこで夕食をつくるのも新人の仕事でした。業務上、窓口や駅構内から離れて食事することができないので、栄養バランスを考えてつくるんです。お客さまが心地よく駅を使えるように、裏ではこんな風に動いているんだと発見の毎日でした」。

STEP3 2013年2月 渋谷まちづくり担当に本配属(入社1年目)

渋谷駅前エリアマネジメント協議会のメンバーとなり、開発が進む各エリアの事業会社と連携しながら、渋谷の街づくりを進めることに。配属された当初は、メンバーが50人ほどいる協議会の会議を運営するだけで大変だった。2014年冬には、工事中の街を活気づけるイベント立案。「建物がなくなると、冬のイルミネーションもなくなって寂しい」という地元の声に応えるべく、工事に使うクレーンをクリスマスツリーに見立てたイルミネーションを作った。

STEP4 2013年 渋谷エリアの複合施設開発に向け、統一されたルールづくりを担当(入社3年目)

5エリアの開発がそれぞれ異なるフェーズで進む中、2018年竣工予定の渋谷南街区に合わせたルールの策定を担当。「標識やMAPのルールを統一して、お客さまが混乱しないようにするのが、私の役割です。ほかにも、『駐車場を作るなら、どのエリアで買い物をしても割引券がもらえる仕組みを整えよう』となった場合、いくらまで買い物すれば駐車場割引を出すか、どんなシステムを導入すべきかを細かく決めていきます。南街区が先行して開発が進んでいるので、絶対に間に合わせないといけないという緊張感がありますね」。

ある一日のスケジュール

9:30 出社し、メールチェック。

10:00 鉄道会社3社と社内で打ち合わせ。

12:00 ランチ。社内で買えるお弁当を食べたあとに、少しお昼寝。

13:00 外出し、渋谷区との打ち合わせへ。

15:00 国土交通省と標識ルールについて打ち合わせ。

17:00 協議会に向けた報告資料の作成。

19:00 渋谷ヒカリエで開催されるイベントに立ち合う。

20:30 帰宅。

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

出典: 就職ジャーナル

コラム一覧に戻る

人気アルバイト TOP10

その他の条件から探す

リクナビCのアルバイトは、自分の「強み」にいち早く気付けます

「社会に出て働く」という意味では、「自己理解」「仕事理解」の機会としてアルバイトは将来役に立つ体験です。
リクナビCのアルバイトは、一緒に働く社会人から、将来働く上で活かせるあなたの強みについてアドバイスがもらえるのが特徴。
アルバイトを、もっと「将来に役立つ」体験になるようサポートします。

  • 人気の接客や販売
    のお仕事多数
  • 無理なく両立できる
  • あなたの強みがわかる