【読売新聞コラボ企画|新聞で「社会」を知ろう】
学生 起業も選択肢

2018/02/28
インタビュー

ゲストハウスを共同経営する(右から)河嶋峻さん、木村高志さん、柴田涼平さん(札幌市豊平区のゲストハウスwayaで)

 終身雇用や年功序列賃金に代表される日本人の働き方が大きく変わろうとしている。これまでと一線を画す様々な仕事の形は、日本経済が活力を取り戻すきっかけになるのか。読売新聞経済面の新年連載「はたらく2018」の第5回(1月11日付朝刊)では、新風を吹き込む若者の姿を追った。(※年齢や情報は掲載時のままです)

協力者 ネットで続々

 札幌市の住宅街に立つゲストハウス「waya(ワヤ)」。築60年の空き家を改装して作った宿泊施設運営会社代表の河嶋峻(しゅん)さん(26)は雪道を歩いてきた宿泊者を笑顔で迎え入れる。

 河嶋さんが起業を考えるようになったのは大学3年生の3月のこと。就職活動が本格化する時期だが、友人の木村高志さん(26)と柴田涼平さん(25)に声をかけた。「一緒に起業しようよ」

 半年後、3人は「全ての人が『ただいま』と言える居場所を作る」との目的でゲストハウスの運営をやると決めた。しかし、3人はごく普通の大学生。お金はない。人脈もない。社会的信用もない。物件も決まらないまま大学を卒業し、高校時代を過ごした札幌に戻った。

 物件探しや資金集めなど壁は次々と現れた。その過程をブログやフェイスブックで発信すると、協力者が徐々に増え、2014年秋、オープンにこぎ着けた。

 訪日外国人の増加などを追い風に16年には2号店を出した。河嶋さんは「自分で道を選んで何かを実現する経験はこの先必ず生きる。僕らはそれがたまたま起業という選択だった」と語る。

 学校を卒業したら就職し、定年まで勤め上げる。こうした安定志向は根強く、春になれば紺のスーツに身を包んだ学生が街にあふれる。だが、最近、こうしたレールに乗らず、起業を目指す若者が少しずつ増えている。

 日本政策金融公庫が16年度に実施した創業融資のうち、25歳未満は前年度比28%増の371件。絶対数は少ないが、創業融資全体の伸び率(7%)を上回る。新興企業の支援を行うダルマテックラボの牧野成将(なりまさ)代表は「インターネットの発達や共用オフィスの増加などで若者でも起業しやすい環境が整ってきた」と分析する。

 近畿大学3年の加賀利(かがり)航平さん(21)と京都造形芸術大学3年の三木俊輝さん(23)は、野生のシカ肉を使ったジビエビジネスを始める準備を進めている。

 狩猟や農作物を食い荒らす有害鳥獣として駆除されたシカは、その大半が捨てられている。「この問題を解決したい」と考えた。

 食肉にするには捕獲後すぐに血抜きをしたり、食肉処理場に運んだりする必要がある。この担い手がいない。ならば起業して自らがつなぎ役になれば、飲食店に高品質のシカ肉を届けられる。食害に悩む農家の助けにもなる。

 加賀利さんは「(ITの発達で)いろいろな人とつながりやすくなった時代に生まれたのはチャンスだと思っている」と意欲満々だ。

加賀利航平さん(右)と三木俊輝さん

駆除したシカの活用方法を相談する加賀利航平さん(右)と三木俊輝さん(大阪市北区で)

社会貢献アプリ

 スマートフォンで飲食店を予約すると、途上国の子供たちに給食が届く。こんな社会貢献型アプリを配信する「テーブルクロス」社長の城宝(じょうほう)薫さん(24)は大学3年生の時に「日本にチャリティー予約の文化を作ろう」と起業した。

 仕組みはこうだ。利用者が同社のアプリで飲食店を予約すると、飲食店からは同社に1人当たり180円の広告費が支払われる。このうち30円が非営利組織(NPO)などを通じてカンボジアなど7か国の子供たちの給食費になる。

 利用者は負担ゼロで社会貢献ができ、飲食店はネット広告費を抑えることができる。テーブルクロスも収入が得られ、事業を続ける原資になる。これまで途上国の子供たちに届けた給食は8万食分を超えるという。

 城宝さんは言う。「単発のチャリティーイベントでは解決できない。利益を生むことで持続可能な社会貢献をしたい」

 誰もやらないなら私がやる。若者を起業に走らせるのはこうした強い情熱だ。

城宝薫さん

途上国への給食支援の仕組みを説明する城宝薫さん(大阪市中央区で)

INFORMATION

 「はたらく2018」は全8回の連載で、様々な角度からユニークな働き方をしている人々を取り上げています。ぜひ図書館などで手にとって読んでみてください。
 ラインナップは以下の通りです(いずれも読売新聞朝刊経済面に掲載)。
(1)「異端児」 企業に新風(1月5日) 外資系企業から大手銀に転職
(2)後継ぎ 家業を「革新」(1月6日) 職人技×IT=新ビジネス
(3)生涯現役 意欲の限り(1月9日) 68歳女性 化粧品販売の道に
(4)学び直しで新たな私(1月10日) 結婚退社から20年ぶりに正社員
(5)学生 起業も選択肢(1月11日) ジビエビジネスに挑む大学生も
(6)さらば安定 新天地へ(1月13日) 農業ベンチャーで「緑の革命」
(7)復帰組 古巣変える(1月18日) 他社で学んだノウハウ注ぎ込む
(8)強み生かし複数の足(1月20日) 8社かけ持ちフリーの広報

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